「AIに聞いてみた」を見てモヤッとした
こんにちは。
NHKスペシャルでやっていた、「AIに聞いてみた第3回 健康寿命」、ご覧になりましたか?
10年以上にわたって集められた、65歳以上の41万人のデータをもとに、どういう暮らしをすれば健康に長生きできるのかをAIを使って調べる、という番組です。
子どもたちも家から巣立って、もはや自分の老後の事しか考えていない私も興味津々で観ました。
見終わったとき、是枝裕和監督の映画を観終わったときのようなモヤッとした気持ちになりました。
まず最初に「本や雑誌を読む」ことと健康寿命とは関係がある、というお話から...
私も本を読むのは大好きなので、「おっ!ほんとか?」と身を乗り出しましたが、よーく見てみると、本を読むために図書館に足しげく通っている高齢者の話でした。
図書館は基本無料だし、1日中いてもよいし、静かだし、高齢者にとってうってつけの場所です。
図書館に行くためには家から出て、歩かないといけません。図書館の中でも本を探すために歩き回らないといけません。
つまり、本や雑誌が好き→図書館に通う→よく歩く→健康を維持できる
ということではないでしょうか。
たしかに、「本や雑誌が好き」と「健康維持」には関係がありますが、直で繋がっているわけではないのです。
それに、外出せずに家でキンドルのような電子書籍で本を読んでいる人についての調査はなかったので、そういう本好きな人がどのくらい健康かということは不明です。
そうなると、「本や雑誌が好き」と「健康寿命が長い」との因果関係はますます怪しくなります。
結局、健康寿命を伸ばすためにやるべきことは、「図書館の数を増やして、開館時間も長くして、利用者を増やす」ということであって、それは本が好きか嫌いかというのとはまた別の話ではないの?と思いました。
そのほかの、「一人暮らし」も「地域の治安を良くする」も、要はこまめに体を動かすということに繋がっていて、結局、家に引きこもらず積極的に外出し、よく歩き、多くの人と話をするのが健康寿命を伸ばすことになる、ということですね。
そんなのずっと前から言われてた(笑)
スペシャルとして放送するほどの内容ではなかったような。。。(モヤッ)
それと、そもそも卵が先かニワトリが先かの話になるのですが、図書館に通って本を読むのも、ひとり暮らしをするのも、友人や仲間と多くの時間を過ごすのも、元気だから出来ることです。
私の母も、70を過ぎて大病を患う前は、友達とよく日帰り旅行を楽しんでいました。近所のプールや体操教室にも通っていて、生き生きと楽しく過ごしていたのです。
でも病気がきっかけで、まるで人が変わったかのように、外出もしたがらず、運動も家事もできなくなり、趣味もなくなり、友達にも興味がなくなり、全てのことに消極的になってしまいました。
「ボランティアをする」も「週に2,3回趣味の集まりに参加する」も「ひとりで交通機関が使える」も、元気でないとできません。
病気になり、体が不自由になったり歩行に自信がなくなったりすれば、誰だって不安になったり暮らしに希望がなくなったりするでしょう。
子供が近くに住んでいてマメに会いに来ていても、「早く死にたい」とか言って子供たちを困らせたりするようになるのです。
そもそも「ピンピンコロリ」が矛盾していると思うのです。
健康な人はそう簡単には死にません。
私の祖母はある日突然倒れて2日後に亡くなってしまいましたが(62歳でした)、それだってなにかしら病気を抱えていたということで、ピンピンコロリではなかったはずです。
ペットだって、だんだん年老いて弱っていってやがて死ぬのですから、人間だけが元気なまま死ねるはずはありません。
死ぬ前は誰だって衰弱して、誰かの世話になり誰かに迷惑をかけるのですから、それはもうしょうがないと諦めるしかないと思うのです。
もちろん、日本は不健康長寿大国だと言われているのですから、少しでも不健康期間を短くする努力はしないといけないと思います。
でも、ピンピンコロリに拘るのなら、安楽死を含めた「死ぬ権利」についての議論ももっと深めないといけないのではないでしょうか。
ところで番組の最初に、都道府県でどこが健康で長生きかを示す表が出たのですが、縦軸に健康寿命、横軸に平均寿命を取って、「健康で長生き」、「不健康で長生き」、「不健康で短命」、「健康で短命」の4つのエリアに分けられていました。
え、健康で短命?
二度見してしまいましたが、健康で短命のイメージが出来ないです(笑)
ちなみに「健康で長生き」のトップは山梨県でした。山梨県って、たしか大学進学率の男女差が全国1位だったと記憶しているのですが(男子に比べて女子の大学進学率が低い)、それと「健康で長生き」にもなにかしら関係があるのかしら。
この番組のAIによると、悩みを打ち明けられる友達のいない私は、健康寿命は短いようです(~_~;)。
読んでいただいてありがとうございました。