マイナーの哀しみ
こんにちは。
ブログって続かないのが普通なのかなと思います。ずいぶん前ですが、私のブログに読者登録して下さった方のブログを見に行ったら、やめている方がけっこういました。
はてな以外のブログで、気に入って読みに行っていた所も更新がパタリと止まってしまうことがよくあります。
人のこと言えませんけど(^^;)
さて、発表会が終わると先生のコンクールに出ろ攻撃が始まります(笑)
出場者をできるだけ増やしたいのでとにかく出ろ出ろ言います。
今年の発表会で演奏した曲は、そこそこ長いしクラシックだし、コンクール向きだとは思いますが、この、コンクールにも私は納得いかないことがあるのです。
アコーディオンには大きく分けて2種類あるのをご存じですか?
ひとつは、歌伴奏やタンゴやミュゼット(シャンソン)などでお馴染みのスタンダードベース・アコーディオンです。右手に鍵盤、左手でアコード(和音)を鳴らす、お手軽に弾ける楽器というイメージですね。
左手は、1つのボタンでメジャー、マイナー、セブンス、ディミニッシュそれぞれの和音を鳴らすことが出来るので、慣れれば歌の伴奏もある程度は出来るようになります。
問題は、その4種類の和音しか出せないということなのです。
ギターの経験のある方ならおわかりでしょうが、コードというのはそれはもう沢山あります。
4種類のコードしか出ないということは、おのずと演奏できる曲に限界を作ることになります。
たとえば、JPOPで大ヒットした曲などを弾きたいと思っても、お洒落で複雑なコードが多いと伴奏のコードを組み合わせるのが難しく、誰かがアコーディオン用に編曲してくれた楽譜がないと、素人ではなかなか手を出すことができません。
とりわけクラシックは伴奏を全部和音にするわけにはいかないので、弾ける曲は限られます。
そこで登場するのが私が習っている、フリーベース・アコーディオンです。
これは、左手のボタンも右手の鍵盤と同じように、1つのボタンで1つの音しか出ないという、ピアノを半分に折って膝の上に置くような感じの楽器です。
フリーベース・アコーディオンは手強い楽器です。演奏中、左手は全く見えないのでひたすら手探りでボタンを探し当てて弾くしかないからです。
ピアノは全ての鍵盤を目で見て確かめることができますね。それが出来ない所がこの楽器のサディスティックな所です。
なので1曲仕上げるのにとても時間がかかります。
クラシックのピアノ曲を、なんでわざわざそんな大変な思いをしてアコーディオンで弾こうとするのか理解できないと言われたこともあります。
そうです、同じアコーディオン弾きの人からもあまり温かい目では見てもらえない、かわいそうな楽器なのです(;_;)
海外の音楽大学のアコーディオン科ではこのフリーベース・アコーディオンは必須です。海外に留学経験のあるアコーディオン奏者は多いですが、プロフィールを見てみると音楽大学ではなく音楽学校になっていることが多くて、そういう人たちの中にはフリーベースが弾けない人もいると思います。
日本では、海外の音大のアコーディオン科を卒業したアコーディオン奏者は本当に少ないのです。
まして、趣味でこのフリーベースをやっている物好きな人なんて、全国にどのくらいいるのかしら?
教える先生が少ないのですから当然ですけどね(^^;)
そこでコンクールの話に戻ります。
実はこのコンクール、スタンダードもフリーベースも一緒くたにされて審査されます。私から見るとスタンダードとフリーベースはかなり違う楽器なのですが。
しかも、驚くべきことに、審査員9人中、まともにフリーベースを弾ける人は2人しかいないのです(これは先生が小声で教えてくれました(笑))
これをたとえて言うと、オートマ限定免許しか持っていない人がマニュアル車の運転方法を批判するようなものなのです。ウクレレしか弾けない人がギターの審査をするようなものなのです。
ちょっと違うかもしれないけど(笑)
まあ、でも、おおよそそういう事です。
審査員の中には有名なアコーディオン奏者の方もいます。そんな人に審査してもらえるのはとても嬉しいことです。でもその人も、フリーベースは弾けないのでちょっと残念です。
フリーベースが弾けない人になんで審査されないのいけないのかな。納得がいきません。課題曲もないような緩いコンクールだから、一緒くたにされるのは仕方ないのもわかります。素人風情が何を偉そうにと思われるかもしれませんが、でもやっぱり変。
それもこれも、フリーベース・アコーディオンがマイナーの中のマイナーな楽器だからです。
先の発表会でも、40名近くの出場者の中で、フリーベースはたったの3人でした。
少数派は悲しいですね。
で、なんでわざわざそんな厄介な楽器でクラシックをやるのか、ピアノではダメなんですか?という質問の答えは、アコーディオンは音を鳴り続けさて、その間に強弱もつけることができるから、です。これは1回鍵盤を叩いたら音が消えていくピアノでは出来ない芸当です。
同じ楽曲でも、アコーディオンならではの表現が出来るのが醍醐味とでもいいましようか(←何様)。
読んでいただいてありがとうございました。