今日も一人でお昼ごはん

コミュ障・人見知りで友達のいないぼっちおばさん専業主婦のひとりごとです。

「堕ちた希望」とナポリ(東京国際映画祭)

 

こんにちは。

 

六本木ヒルズで開催されていた、東京国際映画祭に行ってきました。

去年も行くはずだったのが、夫の不機嫌スネ夫のせいで行けなくなってしまったヤツです。

 

今年も夫が行こうと誘ってきたので、「去年はなんで行かなかったんだっけ?」と、すっトボけて聞いてみたら、「チケットが売り切れてた」と言いました。

嘘つけ!と思いましたが「そうだったのね~」と、返しておきました。

中高年夫婦にありがちなタヌキ同士の会話(笑)

 

それはともかく、映画祭というものに行ったのは初めてでしたが、素晴らしかったです。

普通にその辺の映画館で上映されている、味の濃いハリウッド映画とか邦画とかとはかなり違った、上品で高品質の出汁で味付けされた料理のような作品が多く出されている印象です。

 

上映後は監督や俳優さんなどが舞台あいさつに来て、インタビューも見ることが出来ます。監督さんから直接お話を伺えるので、映画の理解も深まります。

 

全部を観ることはできないので、3作品だけ、私の好みと勘で選んで観ました。

 

一つ目は、「堕ちた希望」という、イタリア映画です。

 

主人公のマリアは小さい頃にひどい暴行(強姦)を受けてその後遺症で子どもを産むのが難しい体になってしまいました。

 

マリアの住む貧しい町には黒人女性が多く住んでいて、彼女たちは体を売り、妊娠して産んだ子どもを売って生計を立てています。

マリアは自分では子どもを産めないので彼女たちを管理する仕事をして生計を立てています。

 

やがてマリアは妊娠します。

医者には出産すればマリアは死ぬだろうと言われてしまいますが、彼女は自分のお腹に宿った命を捨てることができません。必死にあがいてもがいて、この出口のない地獄のような日々から自由になる道を探しました。

 

そうして彼女は自分を救ってくれるだろうある男性に出会います。彼はその昔、暴行を受け海に捨てられたマリアを救助した漁師でした。でも周囲は彼がマリアを暴行したのだと誤解し彼を村八分にし、そのせいで彼は世捨て人のような生活を送っていました。

 

マリアは彼に支えられ、無事に赤ちゃんを産みます。

希望に満ちた美しい海の光景でこの映画は終わります。

 

この映画の監督はナポリ出身で、彼曰く、ナポリ近郊に実際にこのようなな地域があることは事実だ、しかしそれはほとんど報道されることはない、ということでした。多くの黒人女性は、アフリカ大陸から難を逃れてきた人たちだろうということです。

 

私は20年くらい前、イタリア縦断旅行をしたときに、ナポリにも行きました。強烈な印象の街でした。

 

ナポリ駅に着いてすぐ、駅のバルで軽食を取っていたら、ホームレスと思われるすさまじい姿の老婆が現れて、カウンターの中の店員と大声で言い争いを始めました。

ポルトガルでは物乞いを多く見かけましたがイタリアでは初めて見たので衝撃でした。

ホテルを探しに町に出ると、昼日中から若い男性が通りにウヨウヨいて、遊んでいます。失業者だったのかな。

ナポリに限らず、イタリア南部の町は、なぜか沢山の若者が朝から外でたむろしていました。不思議な光景でした。

 

ナポリはとにかく人が多く、地下鉄もバスもぎゅうぎゅうに混んでいました。バスの窓から見えた、下町の通りにはためく沢山の洗濯物も印象に残っています。

 

「ナポリを見てから死ね」などと以前は言われていたようですが、見なくてもいいかも(^^;)と思わせる、貧しくて、喧騒に満ちた、いかにも治安の悪そうな所でした。それでもなにか人を引き付けるものがあるのがイタリアなのだなあと思ったものです。

料理は素晴らしく美味しかったですよ(^^)。

 

イタリアは、北部と南部とでは全く違います。電車も、北は綺麗なのが、南へ行くにつれてボロくみすぼらしくなっていきます。

空の色も土の色も北とは全然違いました。

でも、北と南とどちらか好きかと問われれば、やはり南が好きです。

オシャレな北とは全く違う、なにか野性的な匂いのただよう南部はとても魅力的でした。

 

この映画の舞台となっている町がナポリ近郊だと言うのは、この旅行の経験から十分うなずけました。あのナポリの近くならこういう所はあるに違いないと思います。

 

この映画で描かれている町は貧しく汚くまさに場末という感じの場所でした。(もちろんそこはイタリアなので退廃的な美しさも同居していますが)一度閉じ込められたら出て行く気力も奪われてしまうような所です。

 

それでも懸命に力を振り絞って脱出しようとするマリアの強さに心を打たれました。彼女にはきっと明るい未来が待っている、と思わせるようなエンディングでした。

 

 

音楽がいたるところで効果的に使われていて、それも素晴らしかったです。黒人女性がとても美しい歌を歌っていて、どういう歌なのか知りたかったですが、もう二度と聞く機会はないと思います。日本での公開予定はなさそうだったので。残念。

 

この映画はコンペティション参加作品で、見事最優秀監督賞と最優秀主演女優賞を受賞しました。

 

映画を観終わったとき夫はストーリーがいまいちと少々不満げでしたが、賞を二つも受賞したということで、やっぱり私の勘は素晴らしいと自画自賛(笑)

夫にもドヤ顔してやりましたとさ。

 

読んでいただいてありがとうございました。

 

  

 
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