夫の顔
夫の顔が変わっていることに気が付いたのは5年くらい前だと思う。
その頃うちは夫婦の関係があまり良くなかったので、顔を見るのも嫌な時期が続いていた。
それが何かの拍子に夫の顔をまじまじと見たことがあって、そのとき、夫の顔がものすごく険しく、目つきも悪くなっていることに初めて気が付いた。
目つきが悪いのはもともと近視だったからかもしれないし、眉間のしわが深くなったのも年齢のせいかもしれない。
でも結婚した時はこんな怖い顔じゃなかったと思う。
険しい顔、という表現がぴったりだ。何かに怒っているような、機嫌の悪そうな表情が顔に張り付いている。
できれば近寄りたくないなあと思う顔だ。
「40になったら自分の顔に責任を持て」というのはリンカーン大統領の言葉だったと思うけど、夫の顔を見てなるほどこういうことなのかと納得した。
夫は不機嫌な状態であることが多い。今朝も、ちょっとした間の悪さからものすごく不機嫌になっていた。
「どうしたの?なにか怒ってる?」と聞くと、「怒ってない」と言う。
「今日は晩御飯食べるの?」と聞くと、「食べる」と言う。
明らかに怒ってイライラしてそれを言動に表わしているのに、怒っていないとしらばっくれる。単に間が悪かっただけで、私に非はない。私を責めるわけにもいかなかったのだろう。
些細なことでいつもこんな感じになる。
私にだけでなく、自分以外のすべての人や物が気に入らないといってもいいくらいだ。
そんな人生を50年以上も送っていると、あんな顔になってしまうのだ。
気を付けようと思った。子供にも教えておいた方がいいかもしれない。
私はどんな顔つきになっているのかと自問自答してみた。
かなりの確率で無責任で適当な顔つきになっていると思う。
それがどんな顔つきなのかはわからないけれど(笑)
読んでいただいてありがとうございました。